要領よく診察を受けるために知っておいてほしいことを10項目にまとめてみました。
1、付き添う人は誰?
お子さんの様子をよく知っている人が一緒に来て下さい。いつからどんな症状があるのかを詳しく聞くことが診断する上で重要になります。祖父母などに頼むときには、お子さんの経過を書いたメモを渡しておきましょう。時々、おばあちゃんが連れてこられて、色々と質問しても「さあ?一緒に住んでいないので、さっぱりわかりません。今朝、母親から病院に連れていけと頼まれただけです」ということがあります。これは困ります。どうして受診されたかわからないお子さんを診察しても、推測が入ってしまうので正確な診断ができません。
2、症状は何ですか?
まず、一番気になる症状から伝えてください。それが病気の診断に最も大切です。その他に症状があればそれも伝えて下さい。
3、いつからでてきた?
昨日から症状が出てきたのか、1週間前からなのか、病状の経過も大切です。2~3日前から咳が出始めたのかと思って話を聞いていると、実は1か月前から続いていて、別の病院を受診して、お薬ものんで、血液検査もして・・なんてことがよくあります。正確な診断をするためには、どんな薬を飲んでいたかなどの情報はとても大切です。長い経過がある場合は日付の順に思いだしてメモを作って受診されることをお勧めします。熱が持続していれば、熱型のグラフを作ってこられると、一目瞭然、とても助かります。
4、内服中の薬は何?
内服中のお薬があれば、薬の名前を正確に伝えて下さい。飲み合わせができない薬の組み合わせがあります。飲んでいる薬の名前が記入してあるお薬手帳があれば、持ってきて下さい。たまに、「オレンジ色のざらざらした薬ですよ」などと言われますが、色だけではわかりません。いつも内服する薬は名前とどんな薬なのかは、きっちり知っておきましょう。
5、尿やおむつを持参して
尿や便が気になるときは、尿やおむつを持って受診しましょう。尿はきれいに洗った容器に入れて下さい。
6、重症なときは受付で伝えましょう
家でけいれんをおこした、息苦しそう、真っ青でぐったりなど・・遠慮せずに受付に伝えてください。このような時にはただちに診察して、必要な処置を行います。
7、状態が悪そうだったら午前中に受診を
開業医でしたら夕方まで診療をしておりますが、状態が悪そうな場合は午前中の受診がおすすめです。もし、入院治療が必要な時は入院施設のある大きい病院を紹介することになります。いつでも入院できるのが理想ですが、子どもの入院治療ができるところは限られています。午前中のほうが、入院の部屋の空きがあることが多く、もし、満床で無理でも、他の病院を探しやすいからです。
8、診察前に食べないように
待合室でお子さんがぐずるので、お菓子やジュースを与える親がおられます。特に、夕方の保育園帰りに受診される時は、お子さんもお腹がすいているのでしょうが、診察時に口の中をみたら、お菓子だらけ、大きな飴玉が入ってる、ブドウジュースで紫色になってる・・などなどで、大切な口腔内の所見がとれません。待合室でぐずったら、せめてお茶か水を少しだけ与えるようにしましょう。
9、哺乳びんやお気に入りのおもちゃの持参を
大泣きされると診察がむつかしくなります。年齢に合わせて工夫はしますが、中には絶対に口を開けようとしないお子さんもいます。お気に入りのおもちゃなどがあると、それがきっかけで協力的になることもあります。また、泣いているお子さんに「言うことをきかないと、お医者さんに注射をしてもらうよ」など脅しのように「注射」という言葉は使わないで下さい。お子さんが病院嫌いになり、小児科医に対して恐怖心を持ってしまいます。
10、処方される薬の説明をきいてください
診察が終わり、病気の説明のあとに処方されるお薬の説明もされると思いますが、よく訊いて理解して帰りましょう。一日に2回飲むのか、3回飲むのか、頓用なのか、薬の使い方を確認しましょう。粉薬が苦手でシロップなら飲めるのなら、医師が処方する時にきちんと伝えましょう。たまに、薬局で粉薬を作って手渡したあとに、「粉薬は飲めません。シロップに変えてください」と言われることがあります。お子さんの薬は症状に合わせて様々な薬を混合して作っています。作った後に変更になれば、この粉薬は破棄されます。二度手間で無駄になってしまうのです。
以上、気がついたことをのべました。でも、あまりむつかしく考えないで、心配なことがあれば、気軽に小児科を受診して下さい。帰宅後に聞き忘れたことがあれば、電話で問い合わせをしましょう。不安な気持ちで過ごすより、聞いて解決した方がいいと思います。何回か受診されるうちに、聞き忘れもなくなり、上手な受診ができるようになります。