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マダニから身を守りましょう
2017/11/21

 マダニは山林や田畑などの屋外に生息している大型のダニで、野生動物(ネズミ、ウサギ、イタチ、タヌキ、キツネ、シカ、イノシシ)やヤギ、ヒツジ、ウシ、ネコ、イヌなどから吸血することで活動しています。従って、野生動物が多くいる環境には、マダニも生息しています。家庭内の寝具、衣服、食品に発生するダニとは種類がまったく違います。

 人がマダニに咬まれ、吸血されることによって、さまざまな感染症を媒介されることが問題になっています。2009年に中国で「重症熱性血小板減少症(SFTS)」の患者が初めて発生しましたが、原因不明とされていました。マダニに咬まれたことによってSFTSウイルスに感染したことが原因であると2011年に初めて確認されました。日本では2013年1月に初めて山口県で「重症熱性血小板減少症」の報告がなされ、大きな話題になりました。以後も西日本を中心に報告が続いています。マダニに咬まれた後、6日~2週間して発熱、胃腸症状が出現し、血液検査で血小板減少、白血球減少を認めます。

 マダニの成虫の体長は3~5mmです。人の身体についてすぐに咬みつくのではなく、体のやわらかい部分をさがして吸着します。下腹部、陰部、大腿内側、わきの下などを好むようです。ぎざぎざになった口器を皮膚に差し込んで、セメントのような物質でしっかりと固着します。痛くもかゆくもないので気が付きません。皮膚に固着してから数日間くらい吸血し続けます。吸血すると虫体は膨らんで1cmくらいに大きくなります。吸血が完了すると自然に脱落します。

 皮膚にマダニが付いているのを見つけても、固く付いていて自分ではなかなか取れません。無理に引き抜こうとすると、口器が皮膚の中に残りますので、医療機関(皮膚科)に行って取り除いてもらって下さい。咬まれた後には1か月くらいは体調の変化に注意して、熱がでた場合は医療機関を受診して下さい。

 すべてのマダニがSFTSウイルスを保有しているわけではありません。日本での保有率は5~15%程度と調査されています。

 農作業、レジャー、山でのキャンプなど野外活動をする際には、肌の露出を避けることが肝心です。長袖、長ズボン、長靴にしましょう。上着の裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れて、ダニが入り込まないように工夫しましょう。帽子、手袋も着用して下さい。首にもタオルを巻くなどして露出を避けましょう。マダニの活動は春から秋にかけて活発になります。夏場は暑いですが、野生動物がいるような場所に半袖、半パン、素足にサンダル履きで出かけないように気をつけて下さい。

 野外から帰った後は、衣服にダニが付いていないか確認し、入浴時には身体に付いていないかチェックしておいて下さい。

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