排便の回数には個人差があり、「排便が何日間なかったら便秘です」というような一定の基準はありません。
乳児健診の時に、お母さんから「便秘が心配です。3日に一回しか出ません」と相談されることがあります。しかし、お子さんがよく母乳をのみ、体重が順調に増えていれば問題はありません。便が硬く大きくなって、排便時に苦しがる時や、哺乳量が減って、嘔吐が出てきた時には、治療が必要です。
お子さんの年齢によって便秘の原因が違ってきます。
乳児期では母乳・ミルクが不足して便の量が少なくなることがありますので、体重を測ってみましょう。また、母乳からミルクや離乳食への変更がきっかけで、便秘になることがあります。
まれに外科的に治療が必要な病気もあります。その代表的な病気がヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)です。約5000人に1人の発症といわれています。腸管壁の神経節細胞の先天的な欠如のため腸管が動きません。便秘とともに腹部膨満、哺乳不良、嘔吐などの症状が出ます。この病気では、神経節の欠如している部位の腸管を切除する手術が必要になります。
幼児期では、きびしいトイレトレーニングがきっかけになり、排便を我慢するようになることがあります。いったん便秘になると大腸の中で便から水分が吸収されて、便が硬くなります。硬い便を出すときに、肛門が切れて痛くなることがあります。痛いので、ますます我慢するようになり、硬い便塊は大きくなります。慢性的に貯まると腸が拡張して、さらに大きな便塊になり、だんだんと便意をもよおさなくなってきます。
胃結腸反射といいますが、食後には大腸(結腸)の運動が活発になります。一般に朝食後30分位で便意が出てきます。学童期になると、朝食をとらなかったり、時間がギリギリで食後すぐに登校すると、この胃結腸反射での排便習慣が確立されません。又、学校で便意をかんじてもトイレに入って(特に男の子)排便するのが、恥ずかしくて我慢する子も多いようです。
では、便秘の対策は?
乳児期では家でおかあさんが綿棒浣腸をしてみてください。綿棒にオリーブオイルかベビーオイルをつけて、肛門に入れて円を描くようにグルグルと動かしてください。1回で排便がなければ、1日に3~4回してみてもかまいません。これでも出ないときは浣腸液を使用してみましょう。浣腸で硬い便が出た後も、頑固な便秘が続く場合は小児科を受診してください。症状によっては、下剤を使用することもあります。
幼児期になると、食習慣も大切になってきます。食物繊維の多い食事にして、水分も多めにとるように心掛けましょう。
学童期では、朝の排便習慣がつくように、ゆとりをもって朝食をとることが大切です。