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ワクチンのはなし
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン
2023/10/30

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが、2009年12月末から日本でも接種できるようになりました。海外では、すでに約100か国で12歳前後の女子にワクチンを接種して子宮頸がんの発症を予防しています。

 子宮頸がんは初期には自覚症状がないため、発見が遅れます。日本では、毎年15,000人の女性が発症しており、特に20~30代での罹患が急増しています。

 子宮頸がんの原因は発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によります。HPVは皮膚や粘膜にいるありふれたウイルスで、100種類以上が知られています。このうち約15種類が発がん性HPVです。HPVは性交渉によって感染します。女性の約80%は一生に一回は発がん性HPVに感染しているといわれています。多くは自然に排除されますが、ごくわずかの人では、頸部の細胞に持続感染して数年から十数年かかってがん化してきます。

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンには、3種類のワクチン(2価、4価、9価)があります。ワクチンを接種すると、含まれているHPVの型に対して抗体をつくり、感染するのを防ぎます。HPVの16型と18型が子宮頸がんの原因の約70%を占めています。ワクチンの接種により、接種前に感染したHPVを排除したり、がん病変を治癒させることはできません。ワクチンを受けていても、20代からの定期的ながん検診は早期発見のためには重要です。

 2010年4月から接種費用の公費助成が始まり、2013年4月からは、定期接種として小学6年~高校1年女子に接種が開始されました。しかし、接種後に体の痛みなどの症状が相次いで報告され、ワクチンとの因果関係が不明なため、同年6月から厚生省は積極的な接種の勧めを中止しました。

 その後、2021年11月の専門家会議で、安全性に特に問題はないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ることが認められました。そこで、厚生省は積極的な接種の勧奨を再開しました。