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突き指(Mallet骨折、PIP関節掌側板損傷、PIP関節側副靱帯損傷)
突き指による損傷は、末節骨の伸筋腱停止部の骨折(Mallet骨折)、PIP関節掌側板付着部の剥離骨折、PIP関節側副靱帯損傷が代表的です。
主な治療方法
転位のあるMallet骨折は手術、転位がなければアルフェンスシーネ固定を行います。PIP関節掌側板付着部の剥離骨折は転位の大きさにより固定する屈曲角度を調整しています。PIP関節側副靱帯損傷では軽度ではテーピング、ギブス固定を行います。ストレスレントゲンで不安定性が強い場合には手術も推奨しています。
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骨端線離開(橈骨、手指骨)
小児の突き指において指骨の骨端線で骨折を来す場合があります。また、小児が転倒し手をついた場合に橈骨が手関節と肘関節のところで骨折を来すことがあります。
主な治療方法
転位のある場合には整復操作が必要と考えます。
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シンスプリント
ランニングやジャンプを繰り返すスポーツで起こる脛骨内側下1/3部分の骨膜炎です。普段よりハードに練習したり、シューズを替えたり、アスファルトなど硬い路面を走ったなど通常の環境と異なって負荷が大きくなった場合に起こりやすいといわれています。
主な治療方法
疲労骨折に進行させないために、痛みは警告と捉えて直ちにトレーニングを中断しましょう。フィットネスは自転車や水泳で代替して下さい。局所は温めて、ふくらはぎのストレッチングを行いましょう。痛みが取れて復帰する場合は、芝などの柔らかい路面からランニングを再開しましょう。
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二分膝蓋骨
膝蓋骨は複数の骨化核から形成されることがあります。外側上方の骨化核の骨癒合が妨げられて2個に分裂した状態を二分膝蓋骨といいます。小学高学年から中学生にかけて、サッカーなどダッシュ・ストップ・ジャンプを繰り返すスポーツにおいては、大腿四頭筋の牽引力が分裂部に作用して痛みを起こすことがあります。
主な治療方法
ダッシュ・ジャンプ動作を控えて、大腿四頭筋のストレッチングを励行しましょう。Jリーグジュニアクラスの選手で痛みを繰り返してスポーツ活動に支障を来す場合には分裂した骨片を摘出する手術が行われています。
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リトルリーグ肘
骨格の未熟な小児期に投球動作を過度に行うことで発生する肘の障害です。
内側障害と外側障害が有名です。外側障害は、上腕骨小頭部の軟骨下骨の血行障害と力学的脆弱性から骨軟骨が分離しやすくなります。上腕骨小頭部とそれに相対する橈骨の関節面が正常の形態に成熟しないで肘の屈伸が十分にできなくなります。骨軟骨片が剝脱して関節内に遊離してしまうこともあります。
主な治療方法
内側・外側障害ともに直ちにピッチングとバッティングを中断しましょう。内側障害は約8週間の制限で改善します。剥離骨折があればギブス固定が必要です。外側障害では、さらに肘関節に加わる負荷を最小限にするような生活様式を考えていただきます。レントゲンとMRIで病変部の修復過程を観察していきます。6か月以上かけて修復を待機する場合が多いと思います。病期が進行すれば手術を行います。内側・外側障害とも復帰に際しては再発予防のためピッチングフォームの指導が不可欠です。
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肩SLAP障害
肩の肩甲骨側の関節面には関節唇と呼ばれる膝の半月板のような軟骨があり関節の安定性を補強しています。時計の文字盤の12時のところで上腕二頭筋長頭腱がこの関節唇と肩甲骨に固着しています。投球障害肩では後方の関節包が硬くなっており、肩甲骨の動きも制限されて関節唇の上方部分が上腕二頭筋長頭腱とともに剥がれるため、痛みや引っ掛かり感を生じている状態が肩SLAP障害です。損傷形態から4つに分類されています。
主な治療方法
肩関節鏡で観察して剝がれた関節唇部分を切除する方法と、肩甲骨側の関節面の上方の骨縁にアンカーを入れて関節唇を縫合固定する手術方法があります。投球障害がSLAP病変だけで起こっているわけではないので、肩甲骨の動きと肩関節後方の関節包に対するリハビリテーションが大切です。