食材や食品を使う時に、賞味期限を確認されている方は多いのではないかと思います。しかし、きちんと包装されている食品の中味までが大丈夫なのかとはあまり疑いません。2008(平成20)年の「冷凍ギョーザ薬物中毒事件」は世間を騒がせました。あわてて自宅の冷凍庫の商品をチェックされた方も多かったのではないでしょうか。また、多くの食材の偽装表示も問題になりました。あらためて食の安全について関心が高まったと思います。
昔は冷蔵庫がなかったので、旬の食材にさまざまな工夫をして保存がきくようにしていました。たとえば、野菜は塩漬けや乾燥、魚は干物にするなどして大切に食べてきました。
しかし近年、食材や食品を長持ちさせる、見た目をよくする、味をよくする、価格を安くする目的で農薬や食品添加物などのたくさんの化学物質が使用されています。昔のような自然のままのものを食べたいと思っても、それはとても困難で贅沢なことになってしまいました。
また、環境汚染により、魚や肉も安全性が問われています。川や海の水銀がプランクトンによってメチル水銀に変化して魚に取り込まれ、食物連鎖の上位の大型魚に高濃度で蓄積されています。メチル水銀は胎児の脳への影響が指摘されています。2003(H15)年には厚生省から「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」として注意事項が公表されました。その後2010(H22)年に見直しもされています。たとえば、金目鯛、マグロ、鯨は週に1回までにするように注意しています。さんま、いわし、あじ、さばは濃度が低いので特に制限はされていません。
農薬に頼る農産物も心配です。海外では日本で禁止されている農薬も使用されています。最近は輸入の野菜、米、くだものが増えおり、輸入の際に残留農薬の検査も行われていますが、完全とはいいきれません。
安全な食生活を考えると、食材や食品について無頓着ではいけません。目にはみえないところに有害物質があるかもしれないと認識することが大切だと思います。特に未熟な胎児や乳児への影響は大人とは違って深刻です。個人の注意だけでは無理なこともありますが、自分で確かな情報を得て安全な食材や食品を選ぶ努力が求められるでしょう。