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食と育児
腸内フローラと和食のすすめ
2024/6/20

 「腸内フローラ」や「腸内細菌叢」という言葉をどこかで聞かれたことがありますか?

21世紀になって急速な進歩をした分野で、腸内細菌の乱れは多くの病気の発症や悪化と関係していると明らかになってきました。

 大腸の粘膜層には1000種類以上、100兆個以上の腸内細菌が棲みついており、細菌の集まりがお花畑のようなので「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。腸内細菌は人により違っています。乳幼児を対象とした研究では、出生経路(経膣分娩か帝王切開)や妊婦の食生活や栄養方法(母乳か人工栄養)により腸内細菌叢は違ったものになっています。このお花畑の中には人にとって有益な良い菌(善玉菌)や良くない菌(悪玉菌)がバランスを取って棲みついています。善玉菌の代表はビフィズス菌や乳酸菌や酪酸菌などです。乳酸菌は乳酸を、ビフィズス菌は乳酸と短鎖脂肪酸の酢酸を作り、腸内を酸性にしてくれます。腸内が酸性であると悪玉菌の増殖は抑えられます。またビタミンB群やビタミンKを生成する善玉菌もいます。

 これらの腸内の良い菌を育てるのには、しっかりとエサを補給することが大切です。食物繊維、発酵食品、オリゴ糖などがお勧めです。食物繊維は、野菜、果物、芋、キノコ、海藻、豆類、もち麦など。発酵食品は納豆、ヨーグルト、ぬか漬け、味噌など。オリゴ糖はバナナ、玉ねぎ、ゴボウなどに含まれています。これらの食品は「和食」で効率的に摂取できます。

 2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。「和食」は地域に根差した多様な山海の食材を用いて、素材の持ち味を活かす工夫がされています。一汁三菜を基本として米、味噌汁、魚、野菜、山菜など栄養バランスが良く、「うま味」を上手に使うことにより、動物性油脂の少ない食生活を実現しており、日本人の長寿や肥満防止に役立っています。また、食事の場で、自然の美しさや季節を感じることができたり、正月などの年中行事と密接に関わっています。

 脂肪の多い肉料理、揚げ物に偏ることなく、ぜひ日本の伝統的な「和食」もメニューに取り入れてください。ファストフード、スナック菓子ばかりを食べていると「腸内フローラ」が乱れてきますので、ほどほどにしておいてください。

 「腸内フローラ」は食事の影響が大きく、食習慣を変えれば変化してきます。腸内細菌はずっと共生して自分の健康に関わってきますので、大切に育てていきましょう。