「1歳のお誕生日を迎えたので、そろそろ母乳をやめたほうがいいですか?」と質問されることがありますが、母乳をやめる時期(卒乳)は自然な流れでいいと思います。お子さんによって卒乳の時期はまちまちです。1歳にならないうちに母乳を飲まなくなるお子さんから4~5歳まで飲むお子さんもいます。大体は2歳くらいには自然におっぱいから離れていってしまいます。
1歳を過ぎても、ご飯も少しは食べて、ふつうに発育していれば、無理に卒乳をする必要はありません。お子さんもおっぱいが欲しいし、お母さんも母乳を飲ませたいなら、大切な母と子の絆です。おっぱいライフを十分に楽しみましょう。
周囲の人から甘えん坊になるから早く止めるようにいわれた、もう母乳には栄養がないといわれた、離乳食をあまり食べないのは母乳のせい、保育園に入るので止めなくてはいけない・・・など・・色々とお母さんには卒乳に関してのプレッシャーがかかってきます。でも、気にしないで下さい。一番大切なことは、お子さんの気持ちです。保育園に入って新しい環境で昼間は寂しい思いをしていても、夕方はお母さんがお迎えに来てくれます。すると、大好きなおっぱいが飲めます。この安心感がお子さんの心を支え、情緒を安定させてくれます。
少し前までは、卒乳ではなく断乳と言われていていました。「3日間泣きっぱなしだったけど、ほったらかしにしていたら、ついにあきらめた」とか「断乳したいのなら、おっぱいにからしをつけるといい」という話も聞いたことがありますが、こんな卒乳の仕方はちょっと悲しいですね。お誕生してから毎日、おっぱいを通じて密接に母と子が触れ合い、心を通わせていました。しかし、ある日突然、大人の都合で大切なおっぱいを取り上げられたら、お子さんの気持ちはいかがでしょうか?色々な事情でお母さんの方が卒乳したい場合は、お子さんの気持ちに配慮したやり方で卒乳にトライして下さい。
1歳半ごろになれば、お母さんの話もかなり理解できるようになります。「大きくなったらみんなおっぱいは飲まなくなるんだよ。そろそろやめてもいいかな?」とお子さんに話かけて下さい。お子さんの反応は様々ですが、折にふれてお話をしておいて卒乳の心の準備をゆっくりと整えます。卒乳の目印としておっぱいにシンボルマークを描くという方法もあります。あらかじめ、お子さんが大好きなシンボルマークを決めていて「このマークがおっぱいに現れたら、おっぱいは飲めなくなるのよ」と言い聞かせておきます。
さて、十分な準備の後、卒乳の日におっぱいに現れたシンボルマークを見て、大泣きしたり、かまわずに吸いついてきたりする場合はうまくいきませんので、卒乳は諦めて少し時期をずらして下さい。マークを見て不思議そうにしたり、笑ったり、「ナイナイ」といってお母さんの服でおっぱいを隠す場合は卒乳できそうです。
卒乳後は、おっぱいのかわりに、しっかりと抱きしめたり、絵本を読んだり、子守唄を歌ってあげたりして、お子さんの心のよりどころを確保できるように細やかに気を配ってあげて下さい。