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細菌・寄生虫による病気
耳鼻の病気
急性中耳炎
2017/11/21

 急性中耳炎は3歳までに80%以上の子どもが、少なくとも1回はかかるといわれ、頻度の高い病気です。耳の中耳という部分に細菌やウイルスが入って炎症が起こります。

 耳は外側からまず耳介(耳たぶ)があります。奥へ進んで、外耳道というトンネルになり、鼓膜に突き当たります。鼓膜の奥が中耳です。外耳道と中耳は鼓膜によって仕切られています。中耳からは耳管という細い道が鼻の奥のほうに通じて、空気が出入りできるようになっています。中耳炎をおこす細菌やウィルスは鼻から耳管を通って中耳に侵入してきます。多くは鼻炎、上気道炎、咽頭炎などに引き続いて起こってきます。「中耳炎の原因は鼻にある」といってもいいでしょう。

 子どもの耳管は短く、水平になっているのが特徴的で、細菌やウイルスが入りやすい構造をしています。成長すると耳管は長くなり、垂直になってきますので、中耳炎を起こしにくくなってきます。

 よくお風呂やプールで耳に水が入ったので中耳炎になったと勘違いされることがありますが、耳から水が入って中耳炎になることはありません。

 発熱、耳痛が主な症状です。乳幼児では痛みを訴えることができないので、不機嫌になる、夜泣きをする、耳をさわるようになる、首をふるといった症状が出てきます。

 中耳炎が進むと中耳腔に膿が充満して鼓膜を圧迫してきて、強い痛みになってきます。そのうち鼓膜が破れて、膿が外耳道の方に出て、耳だれ(耳漏)が出てきます。耳だれが出はじめると、中耳腔の圧が減って痛みは軽減してきます。

 耳鏡で鼓膜所見を観察して診断します。鼓膜が赤くなっている、膨らんでいる、鼓膜の向こうの中耳に膿が貯留している、外耳道に耳だれがあるかなどをチェックします。

 治療は原因になっている細菌に対して抗生剤の内服を行います。中耳に膿がたくさん溜まり鼓膜の膨隆が強いときは、鼓膜を切開して膿を出します。「鼓膜を切る!!」とびっくりされる方がおられますが、切開して膿を出したあとは、鼓膜は自然に再生して閉じるので心配はいりません。

 鼻腔にたくさんの鼻汁があれば、吸引して鼻の通りを良くすることも重要です。日頃から鼻すすりはやめるようにして、鼻かみを上手にできるように習慣をつけるといいと思います。

 急性中耳炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌が多いのですが、最近は抗生剤が効きにくくなった耐性菌が増加しており、治療に難渋するケースもみられます。

 かぜ気味だったお子さんが、中耳炎になり夜中に突然、強い耳の痛みを訴えて泣き叫ぶことがあります。びっくりされると思いますが、手持ちに解熱剤の坐薬、内服剤があれば、鎮痛効果もありますので、まず使ってみてください。痛みが落ち着けば、翌日に耳鼻科またはかかりつけの小児科を受診してください。