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ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)感染症
2017/10/05

 ヒト・メタニューモウイルス(hMPV)は、2001年にオランダで、RSウイルス感染症と同じような症状のある子どもから発見されたウイルスです。あまり、聞いたことのない名前のウイルスですが、新たにヒトに感染を起こしたものではなく、昔から流行していたかぜの原因のウイルスの一つで、今までに発見されていなかったウイルスです。

 2013年からこのウイルスを鼻腔から簡単に検査できるようになり、外来ですぐに、「hMPV感染症」と診断できるようになりました。最近は、保育園で流行があると、「ヒト・メタニューモウイルスが出ました」とお知らせする保育園もある様子で、時々、お母さんから「ヒトメタなんとか・・」あるいは「hMなんとか・・が出ているといわれましたが、うちの子もそれですか?一体なんの感染ですか?」と質問されることがあります。

 生後6か月頃から感染することがあり、1~2歳での感染が最も多いです。10歳までにはほとんどの人が感染するといわれています。一回の感染で十分な終生免疫はつかないので、何度でもかかります。咳やくしゃみによる飛沫感染、手指を介した接触感染をしますので、乳幼児の多い保育園で感染が拡がることがあります。

 感染して4~6日後に、発熱、咳、鼻水などかぜ症状が出てきます。大人では上気道感染だけですみますが、乳幼児や高齢者では、下気道感染を起こしてきます。RSウイルスのように細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎を発症して、喘鳴が出て呼吸が苦しそうになることがあります。

 3月~6月頃に流行することが多いです。毎年、秋から冬にかけて、ちょうど正月頃にRSウイルスが流行し、次いで1月頃からはインフルエンザの流行時期に入り、インフルエンザが落ち着きはじめる頃に、hMPVの流行をみるようになります。

 hMPVに効果のある薬はないので、対症療法になります。食欲のない場合は水分補給を十分にするように気をつけて下さい。細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎になった場合は入院して、輸液、吸入、酸素投与などの治療を受けることもあります。おおよそ一週間くらいで回復します。

 流行しているときに予防はなかなか難しいのですが、鼻水から感染することが多いので、手洗いが特に大切です。ウイルスが付いたドアノブを触ったり、おもちゃをなめたりして感染するので、周囲の大人の細やかな対処が必要です。インフルエンザの予防と同様に考えて下さい。流行している時は帰宅したら、まず、手洗い、うがいをしましょう。

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