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黄色ブドウ球菌による食中毒
2017/10/01

 黄色ブドウ球菌はとても身近な細菌で、健康な人の20~40%に鼻腔や皮膚に常在菌として存在しています。顕微鏡で見るとブドウの房のように菌が集まってみえるので、そう呼ばれています。

 さて、黄色ブドウ球菌がひきおこす感染症は多くあります。伝染性膿痂疹、中耳炎、肺炎、関節炎、尿路感染症、感染性胃腸炎、敗血症、髄膜炎など様々な臓器で感染を起こします。

 ここでは、感染性胃腸炎としての黄色ブドウ球菌感染について取り上げます。黄色ブドウ球菌は食物の中で増殖して毒素(エンテロトキシン)を産生します。この毒素は調理による加熱では失活されません。

 発症は早く、毒素を摂取して3時間くらいで強い嘔吐、腹痛で出現してきます。発熱、下痢を伴うこともあります。

 毒素型なので便の細菌検査では菌がはっきりしないことがあります。摂取した食物を検査した方が原因ははっきりすると思います。

 食中毒の発生として多いのが、調理する人の手指の化膿した傷に黄色ブドウ球菌が付いていた場合です。例えば、その手でおにぎりを作ってしまい、黄色ブドウ球菌がおにぎりの中で繁殖して毒素を産生してしまいます。冷蔵庫に入れても、時間とともに菌は増加していきます。以前は、仕出し弁当などが原因で食中毒が発生する場合はほとんど黄色ブドウ球菌によるものでしたが、最近は調理の際には手袋をするなどで衛生管理が行き届いて、発生が減少してきています。

 黄色ブドウ球菌のエンテロトキシン食中毒として記憶にあるのは、2000年に加工乳が原因で13000人以上に発生した事件です。加工乳の材料の脱脂粉乳に黄色ブドウ球菌が混入してエンテロトキシンが産生されました。その後の加熱殺菌で菌は死滅しましたが、エンテロトキシンのみが残っていました。このように食中毒の予防では「加熱すれば全て大丈夫」とは言えないので、十分に注意してください。

 予防には手洗いを十分にして、手指に傷があれば調理しない、又は手袋をするようにしましょう。調理には十分な加熱をして、早めに食べましょう。残った食物は菌の増殖を抑えるためには室温よりは冷蔵庫に保管する方がいいでしょう。しかし、菌が増えてエンテロトキシンが産生されれば再加熱では効果がないので、長時間の保管はお勧めできません。

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