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細菌性髄膜炎
2017/10/01

 子どもの感染症の中でも特に重篤な病気で、化膿性髄膜炎とも呼ばれています。細菌が血行性または近くの臓器から脳脊髄液に侵入して炎症を起こします。好発年齢は新生児、乳幼児期で5歳未満に発生頻度が高くなっています。治療の開始の遅れが予後を悪くするので、一刻も早い診断が望まれます。しかし、病初期や生後まもない赤ちゃんでは症状がわかりにくく、初めは診断が難しいことがあります。

 症状は発熱ではじまることが多いです。嘔吐、頭痛(後頭部痛)が出現してきます。頭痛を訴えることのできない乳児では「首の後ろを触るといやがる」「仰向けで眠れない」などの症状がみられます。また、乳児では大泉門の膨隆が観察されることもあります。髄膜炎に特徴的な症状である項部硬直や髄膜刺激症状は年長になるほどはっきりと認めてくるようになります。けいれん、意識障害をおこすこともあります。低年齢のお子さんでは「何となく様子がおかしい」、「元気がいつもよりない」、「哺乳がいつもより少ない」ことがきっかけで髄膜炎がみつかることもあります。お子さんの「いつもと違う感じ」が早期診断にはとても大切です。

 血液検査では白血球や炎症反応(CRP)の高値を認めます。CRPは発熱してすぐには上昇しないので、髄膜炎を疑えば、注意深い観察とこまめな診察、検査が重要です。早期の治療開始が予後を左右しますので、この病気であれば緊急入院が必要です。確定診断は髄液検査(腰に針を刺して採取します)を行います。髄液は正常では無色透明で細胞(白血球)はありませんが、細菌が侵入すると細胞が多くなり、白濁していることもあります。採取した髄液の中の細菌を同定します。治療は大量の抗生剤を点滴で、2~3週間くらい投与します。症状が改善し、髄液検査が正常になっても、さらに1週間くらいの投与を継続して終了します。予後は悪く、約10%のお子さんが亡くなり、重い後遺症(水頭症、てんかん、難聴、発達障害)が30~40%に残ります。

 髄膜炎をおこす細菌については、2013年4月からインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種が導入され、様変わりしました。導入前は、インフルエンザ菌が最も多く約60%、2番目は肺炎球菌で約20%、次いでB群連鎖球菌、大腸菌となっておりました。しかし、導入後は、このトップ2の原因菌による髄膜炎は著減しました。全国調査(10道県サーベイランス)では、2014年と2015年ではインフルエンザ菌による髄膜炎の報告はゼロで、肺炎球菌による髄膜炎も約7割減少しました。ワクチン導入から驚くべきスピードで減りました。生後2か月から高い接種率となったワクチンの効果と思われます。ヒブワクチンは髄膜炎を起こすインフルエンザ菌をほぼカバーできます。しかし、肺炎球菌では髄膜炎を起こす菌の型が多くあり、ワクチンにはそのうちの13種類が含まれています。現行のワクチンでカバーできない肺炎球菌の型による髄膜炎が発症しています。