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小児科
病気のはなし
76. カンピロバクター感染症
2016年9月
 細菌性胃腸炎の中ではカンピロバクター(Campylobacter)による胃腸炎が最も多くみられます。カンピロバクターは鶏、牛、豚などの家畜の腸管内に生息しています。特に鶏の保菌率は高く、ヒトへの感染は不十分な加熱の鶏肉を食べたことが主な原因になっています。
 感染して1〜7日後に、発熱、腹痛、下痢、嘔吐が出現してきます。頻回の水様性の下痢で、粘血便になることもあります。
 便を培養してカンピロバクターを検出することで確定診断しますが、結果がわかるまでには数日かかります。確定された時には既に回復してしまい、「やはり・・・カンピロバクターでしたね」との説明になることが多いです。
 自然治癒する傾向があり、軽症であれば経過観察します。症状が強い場合は、抗生剤(マクロライド系やホスホマイシン)を内服して治療をします。嘔吐・下痢が強く脱水症があれば輸液を行うこともあります。
 春から夏にかけて多くみられ、バーベキューやキャンプなどの行事で焼き鳥、唐揚げを食べて発症したエピソードがよく見受けられます。カンピロバクターは十分な加熱で死滅しますので、生焼けの鶏肉をあわてて食べないように注意してください。また、肉を調理したまな板、包丁、手指を介して生野菜などから感染することもありますので、調理器具の洗浄と手洗いにも気をつけましょう。
 まれな合併症ですが、感染後1〜2週間してギラン・バレー症候群を発症することがあります。ギラン・バレー症候群とは四肢の筋力低下と腱反射の消失を特徴とする運動障害の疾患です。大部分は回復しますが、後遺症で歩行障害などが残ることもある難病です。カンピロバクターの感染によって生じた抗体が、自己抗体として末梢神経に作用して障害をきたしていると考えられています。逆に、ギラン・バレー症候群を発症する原因のほうからみると、カンピロバクターの感染が約30%と一番多くみられ、カンピロバクターは注意すべき感染症です。
 夏の野外イベントでは気も緩みがちになりますが、大人は食の安全には十分に配慮してください。
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