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66. ヘノッホ・シェーンライン紫斑病
2015年10月
 ヘノッホ・シェーンライン(Henoch-Schonlein)紫斑病は血管性紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病、アレルギー性紫斑病などと実に様々な呼び名があります。
 出血斑(紫斑)、腹痛、関節痛の症状が特徴的です。3〜10歳によくみられ、男児にやや多い傾向があります。
 原因は免疫が関与していると考えられています。この病気を発症する1〜2週間前に、半分くらいのお子さんでは、先行感染があります。とくに溶連菌感染との関連が指摘されています。マイコプラズマ、水痘、アデノウィルスなどの感染も関係しています。これらの細菌、ウィルスに対して異常な免疫反応が起きて、IgA抗体が過剰に産生され、IgA免疫複合体を作ります。この複合体が皮膚、消化管、腎糸球体の小血管に付いて血管炎を起こすといわれています。
 両下腿から足関節にかけて少し隆起した点状〜斑状の出血斑が出現してきます。「足にブツブツ(発疹)、蕁麻疹が出た」といわれて来院されることがあります。指で押してみると発疹と出血斑が区別できます。発疹では赤みは消えてきますが、出血斑では消えません。腹痛はかなり強いことがあり、嘔吐や血便もみとめることがあります。腹痛だけの症状ではこの病気の診断はむつかしく、急性腹症の疑いで緊急手術になってしまうこともあります。関節痛は膝、足首に多く、腫れもみとめます。痛みで歩けないこともあります。
 この病気の診断の決め手になる検査所見はありません。紫斑は出ていますが、血小板数は正常です。重症なケースでは凝固第XIII因子の活性が低下しています。
 症状が強いときは入院をすすめます。関節痛に対しては鎮痛薬、腹痛が強いときはステロイド剤を使用することもあります。凝固第XIII因子の活性が低下している場合はこの因子の補充をします。 およそ1〜2週間くらいで出血斑、腹痛、関節痛などの症状はおちついてきます。その後1年間くらいは、かぜをひいた時などに、下肢に少し紫斑がでることを繰り返しますが、いずれ起こさなくなります。
 合併症として紫斑病性腎炎を起こすことがあります。発症後1か月以内に血尿・蛋白尿が出てきます。子どもの糸球体腎炎の中では紫斑病性腎炎は頻度が高く、まれにネフローゼ症候群や腎不全になることもあります。紫斑病を発症した後の経過で一番心配なのが、腎炎の合併の有無です。紫斑病が落ち着いたあとも半年〜1年間くらいは定期的に検尿をする必要があります。
 発症時に症状が紫斑だけだったら、皮膚科を受診したり、関節痛だけだったら、整形外科を受診されることがあります。小児にみられる病気なので、小児科医はよく知っていますが、他科の先生方にはあまり知られていない病気なので、診断がつかずに経過観察されることがあります。病状によって適切な治療がありますので、わからない時にはまずはかかりつけの小児科を受診して下さい。
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