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小児科
病気のはなし
65. 伝染性単核球症
2015年9月
 伝染性単核球症は発熱、扁桃炎、頚部のリンパ節の腫れが特徴的な急性の感染症の病気です。ほかの症状では、発疹、肝臓や脾臓の腫大、まぶたの腫れもみとめることがあります。
 EBウィルスに初めて感染した時に伝染性単核球症を発症してきます。EBウィルスというのは、エプスタイン(Epstein)とバール(Barr)という二人によって発見されたので、二人の頭文字をとってEBウィルスと名づけられました。EBウィルスはヘルペスウィルスに属し、いったん感染すると生涯にわたって体内の白血球のリンパ球のB細胞に潜伏し続けます。日本ではほとんどの人が乳幼児期に不顕性感染(何も症状がでません)をしますが、一部の人が伝染性単核球症を起こすといわれています。
 既感染者(健康な人です)のリンパ球のB細胞の中に潜伏しているEBウィルスは、時々再活性化されて唾液中に排出されます。健康な人の約20%が排出しているといわれています。この唾液中のウィルスが飛沫、口移しでの飲食、キスなどを介して感染していくので、別名、「キス病」とも呼ばれています。潜伏期間は長く、感染して2〜8週後に症状が出現してきます。
 まず、発熱と扁桃炎の症状が出て、まぶたが腫れぼったくなります。のどを診ると扁桃に白い苔がついており、初めは細菌性の扁桃炎のようにも見えます。この時期では、かぜや扁桃炎と診断されることが多いと思われます。しかし、熱は1〜2週間と長く続き、頚部のリンパ節も腫れてきます。体に赤い斑丘疹が出てきて、肝臓や脾臓も腫れることがあります。
 特徴的な血液検査所見を呈します。白血球の中のリンパ球(単核球)が著明に増加して、普通では見られない異型リンパ球が出てきます。これが病名の由来になっています。また、様々な程度の肝機能障害もみられます。抗体価の推移を測定すると、EBウィルスの初感染かどうかの正確な診断ができます。
 EBウィルスに効く抗ウィルス薬はなく、自然経過で様子をみます。発熱に対しては解熱鎮痛薬の投与などの対症療法を行います。多くは2〜3週間で回復してきます。
 従来の日本では乳幼児期に初感染をすることが多かったのですが、最近は欧米のように思春期以降になって初感染をする人が増えてきています。思春期以降では、免疫力も十分にそなわっていますので、不顕性感染ではなく顕性感染になりやすく、伝染性単核球症を発症しやすくなります。
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