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63. ピロリ菌と子ども
2015年6月
「ピロリ菌」という言葉をご存知ですか?

 この菌に感染すると、長い年月を経て慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因になることがあります。1983年にオーストラリアの二人の医師によってピロリ菌は発見されました。この発見は、それまでの胃・十二指腸潰瘍、胃がんの病因論を大きく変える大発見でした。この業績によって、お二人は2005年にノーベル賞を受賞されています。
 ピロリ菌は正式にはヘリコバクター・ピロリといい、らせん形をした細菌です。感染すると胃の粘膜にすみつきます。ピロリ菌は感染者の胃内、唾液、吐物、便中に存在します。
 日本では、ピロリ菌の感染者は非常に多く、人口の半分の約6000万人といわれています。感染率は世代によって異なります。昔、上下水道がなく井戸水を利用して生活していた高齢者では約80%の人が感染しています。衛生環境が整ったことにより、若年になるほど感染率は減少してきています。若い世代である10代では約10%といわれています。
 では、どのようにして感染するのでしょうか? 乳幼児期に経口的に感染すると考えられています。5歳までに家族内での感染が多いといわれています。ピロリ菌に感染している母親やおばあちゃんが、離乳期に食べ物をかみ砕いてから、子どもにそれを食べさせることで感染させます。口から口への感染経路です。
 ピロリ菌は便中にも排出されます。昔は衛生状態が悪く、便中のピロリ菌が井戸水に入り込み、その水から感染していました。高齢者に感染が多いのはこのような生活環境だったからだと思われます。便から口への感染経路です。現在では衛生環境が良くなってきたので、このような感染経路は減ってきています。
 乳幼児では、胃液の酸性度が高くなく、免疫力も弱いため、ピロリ菌が胃に入ると粘膜内にすみついてしまいます。しかし、大人になると、胃液は強酸性になり、免疫力もあるため胃の粘膜にすみつくことはなく、体外に排出されてしまいます。
 また、胃の病気ではありませんが、ピロリ菌は貧血にも関与しています。ピロリ菌が胃にすみついていると、食物からの鉄の吸収を阻害したり、菌の増殖のために鉄を消費します。頑固な鉄欠乏性貧血がある場合は、ピロリ菌がいるかもしれないので、一度消化器内科に相談してみて下さい。
 将来、胃・十二指腸潰瘍や胃がんの原因になるかもしれないピロリ菌の感染は乳幼児期に起こっています。普通の生活では感染することはありませんが、食べ物を大人がかみ砕いてから子どもに食べさせる食習慣は絶対に止めましょう。特におばあちゃん世代に保育を頼む時には、おばあちゃんはピロリ菌のことをご存知ないかもしれないので、よく伝えておいてほしいと思います。
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