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小児科
病気のはなし
47. 急性虫垂炎
2013年1月
 急性虫垂炎は小児期に緊急の手術を必要とする頻度が最も高い病気です。6歳以上の学童期に多く、乳幼児ではまれにしかありません。俗に「盲腸」としてよく知られていると思います。
 虫垂とは、右下腹部にある盲腸(大腸の一部)の先にひものようにぶら下がっています。正常では太さ4〜5mm、長さ5cmくらいです。急性虫垂炎は何らかの機序で虫垂の内腔が閉まって、虫垂が腫れて細菌感染が起こったものです。内腔に糞石と呼ばれる石があることもあります。
 腹痛、吐気・嘔吐、発熱が主な3つの症状です。まず、腹痛から始まります。典型的な腹痛は上腹部やおへその周囲から始まって、時間とともに右下腹部へ移動していきます。お子さんが右下腹部を押さえて前かがみの姿勢でそろりそろりと診察室に入って来られるのが特徴的です。お腹が痛いと訴えても、すたすた歩いたり、笑って走り回れる場合は、まずは「虫垂炎ではないかな?」と思います。ただし、幼少のお子さんでは痛みを上手に訴えることができないので注意が要ります。
 虫垂炎では下痢の症状を認めることもありますので、急性虫垂炎か感染性胃腸炎かで診断がつきにくいことが時々あります。下痢があるので虫垂炎ではなくて胃腸炎だと安易に考えるのは危険です。少しでも虫垂炎の可能性があれば、慎重に経過を見ていく必要があります。実際に感染性胃腸炎として経過をみていて、実は急性虫垂炎だったということもあります。
 血液検査では白血球の増加が特徴的です。炎症反応(CRP)も時間が経つと上昇してきます。画像診断では腹部エコー、腹部のレントゲン写真、CT 検査などを行って診断します。
 診断がつけば、手術で虫垂切除術を行うのが原則です。最近では腹腔鏡下で行われることもあります。
 合併症としては穿孔があります。発症から2〜3日経つと、虫垂の炎症が激しくなって、壁に穴があくことがあります。お腹の中に細菌感染が広がり腹膜炎を併発しますので、穿孔を起こす前にきちんと診断することがとても大切です。穿孔を合併する割合は診断の難しい幼少時(1〜4歳)では約7割といわれています。
 また、虫垂はひものようにぶら下がっていますので、盲腸の裏側に位置して炎症を起こした場合などは、腹部症状が典型的に出現せず、腹部エコーでもわかりにくくとても診断が難しいです。
 急性虫垂炎はよくある病気で、どの年齢でも起こしますが、典型的な症状や検査所見ですぐに診断できる場合から診断に難渋する場合と実に様々です。簡単な病気ではありませんので、注意深い観察が必要といえるでしょう。
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