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小児科
病気のはなし
42. 細菌性髄膜炎
2012年6月
 子どもの感染症の中でも特に重症なこわい病気で、化膿性髄膜炎とも呼ばれています。治療の開始の遅れが予後を悪くするので、一刻も早い診断が望まれます。しかし、病初期や生後まもない赤ちゃんでは症状がわかりにくく、初めは診断が難しいことがあります。
 原因となる細菌は、2007〜2008年の全国調査(287例)ではインフルエンザ菌が最も多く57%、次いで肺炎球菌が19%、B群連鎖球菌が9%、大腸菌が3%でした。好発年齢は、インフルエンザ菌の感染が生後1か月〜6歳、肺炎球菌が生後2か月〜13歳、B群連鎖球菌が新生児〜生後7か月、大腸菌が新生児〜生後4か月となっていました。
 発熱、嘔吐、頭痛、項部がかたくこわばる髄膜刺激症状、大泉門の膨隆、けいれん、意識障害などの症状が出ます。発熱は85〜99%、嘔吐は50%くらいの頻度です。髄膜炎に特徴的な髄膜刺激症状は生後4カ月未満では20%程度ですが、4歳以上では80%と高率に認めています。けいれんは10〜30%の頻度といわれています。低年齢ほど症状がわかりにくくなっているのです。何となく様子がおかしい、元気がいつもよりない、哺乳がいつもより少ないことがきっかけで髄膜炎がみつかることがあります。お子さんの「いつもと違う感じ」が早期診断にはとても大切です。
 細菌性髄膜炎を疑えば、まず、血液中の白血球や炎症反応(CRP)を調べます。これらが高値の場合には細菌感染症の可能性が高くなります。発熱1日目には軽度のCRPの上昇であっても、時間とともに急激に悪くなる場合があります。見逃さないためにはお母さんの注意深い観察とこまめな小児科医の診察が重要です。
 早期治療の開始が予後を左右しますので、この病気であれば緊急入院が必要です。髄液検査(腰に針を刺して採取します)で原因となった細菌を認めることにより確定診断にいたります。大量の抗生剤を点滴で、2〜3週間くらい投与します。症状が改善し、髄液検査が正常になっても、さらに1週間くらいの投与を継続して終了します。
 予後は悪く、約10%のお子さんが亡くなり、重い後遺症(水頭症、てんかん、難聴、発達障害)が30〜40%に残ります。
 現在、細菌性髄膜炎の原因菌のトップ2のインフルエンザ菌、肺炎球菌に対するワクチンが生後2か月から接種できるようになりました。ワクチンでこのような恐ろしい病気が予防できるのは小児科医として本当に嬉しいかぎりです。ワクチンの接種率が上がれば、この病気にかかるお子さんは著しく減ってくることと思います。
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