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小児科
病気のはなし
37. 鉄欠乏性貧血について
2012年1月
 鉄が欠乏すると、赤血球に含まれる血色素(ヘモグロビン)が少なくなり、貧血になります。鉄欠乏性貧血が小児の貧血の中では、最もよくある疾患です。
 急速に成長する乳児期(生後8か月〜2歳)と思春期には、鉄の需要が高まるため、好発します。
 生まれた時に母体からもらった鉄分は数か月で使いきってしまいます。生後6か月頃からは鉄分の補給が必要ですが、離乳食の遅れや鉄分の不足した食事、過度の牛乳多飲などが鉄分不足の原因となっています。
 思春期の鉄欠乏性貧血は女性に多くみられます。偏食、ダイエット、月経により鉄不足になりやすい時期です。また、スポーツ貧血と呼ばれますが、思春期の運動選手にも鉄欠乏がみられることがあります。運動により、足底血管の赤血球が壊れることや、筋肉の肥大により鉄の需要が高まることが原因と考えられています。
 鉄欠乏から貧血の発症までには、3つの過程があります。まず、1期では、貯蔵鉄(フェリチン)の減少がみられます。次に2期では、貯蔵鉄が枯渇して、血清鉄が減少してきます。3期になると、血清鉄もなくなり、ヘモグロビンの合成が障害されて、貧血になってきます。1・2期ではヘモグロビン値は正常ですので貧血ではありませんが、潜在的な鉄欠乏状態で、貧血予備群といえます。
 乳児期では、顔色不良で気づかれることが多いと思います。思春期では、疲れやすい、動悸、息切れなどの症状があります。陸上選手では、タイムが悪くなって気づかれる場合もあります。しかし、徐々に貧血が進行するので、からだのほうが貧血状態に適応してしまい、かなりの貧血があってもわからないことがあります。
 鉄欠乏性貧血と診断がついたら、鉄剤の内服を開始します。貧血の程度にもよりますが、大体2〜3か月間は続けます。貧血の改善は3つの過程の逆をたどります。まず、ヘモグロビン値が正常になり、次に、血清鉄値の回復、最後に貯蔵鉄(フェリチン)が回復します。潜在的な鉄欠乏状態も解消しておかなかったら、またすぐに貧血になってしまいます。途中で勝手に治療を中断しないで、きちんと通院するようにして下さい。
 治療が完了したあと、食生活に何か問題がある場合は改善していくように心掛けて下さい。食物中の鉄は動物性食品のほうが、植物性食品の鉄より吸収率が良いので、赤身の肉やレバーなどを多く摂取するといいでしょう。
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