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小児科
病気のはなし
35. 無菌性髄膜炎
2011年7月
 無菌性髄膜炎の「無菌性」は「細菌が原因ではない」という意味です。細菌以外の様々なウィルスやマイコプラズマなどが原因となる無菌性髄膜炎は、自然に治る予後の良い病気です。一方、同じ髄膜炎でも細菌によって起こるものは細菌性髄膜炎(または化膿性髄膜炎)と呼ばれ、こちらは生命にかかわる重い病気です。「髄膜炎」と診断されても、原因の病原体がウィルスによるのか細菌によるのかでは、病気の重症度は全く違ってきます。
 では、どんな種類のウィルスが原因なのでしょうか?
 エンテロウィルス属(腸管ウィルス)と呼ばれている腸管で増えるウィルスが髄膜炎の主な原因になっています。これは、夏に流行するかぜの原因になるウィルスです。エンテロウィルス属のなかでもエコーウィルスとコクサッキーウィルスが無菌性髄膜炎を起こす代表的なウィルスです。また、おたふくかぜの原因となるムンプスウィルスも髄膜炎を起こします。
 エコーウィルスやコクサッキーウィルスに感染(飛沫感染、糞口感染)すると、発熱、軽い咳や鼻水、咽頭痛、発疹が認められます。通常は数日で回復しますが、腸管で増えたウィルスが血液中に入りこんで、髄膜(脳と脊髄を覆ってる膜)の方に入ってしまうと髄膜炎を合併してしまいます。
 発熱、頭痛、嘔吐が髄膜炎の三大症状です。髄膜刺激症状である項部硬直(うなじが硬くなって首が前に曲げにくくなる)が出現します。乳児では、大泉門(おでこの上の方にある骨と骨の継ぎ目で、菱形の柔らかい部分)が膨隆してきます。夏にかぜ気味なお子さんが来院されて、「昨日から熱が高くて、頭をとても痛がります。今朝から2〜3回嘔吐しました」とお母さんから言われると、髄膜炎を疑って診察します。
 髄膜炎であれば、原則的には入院して経過をみます。診断は腰のところから針を刺して髄液を採って検査します。正常な髄液には白血球はありませんが、髄膜炎になると白血球(主にリンパ球)が増加してきます。
 これらのウィルスには有効な薬はありませんので、対症的な治療(解熱鎮痛剤や輸液)を行います。髄液検査をしたあと、髄液を抜くことで頭蓋内圧が下がって、頭痛、嘔吐が軽くなることがよくあります。予後は良好で、1〜2週間で回復します。
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