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小児科
育児のはなし
1. 食育シリーズ
2008年11月
[6]旬の食材
 桜がつぼみをつける頃になると春のおとずれを感じ、満開を迎えるころには記憶の中から入学式の想い出がふっと顔をだします。また、あじさいの花を見ると梅雨時の湿った空気の中にいるように思えます。コスモスが咲き乱れる時期になると、秋の気配とこれから寒い季節がめぐってくるもの寂しさを感じます。
 食べるものにも季節があり、一番よく採れておいしい時期を「旬」と言っています。昔から「初ものは縁起がいい」と言って、旬のものを大切にいただいてきました。
 現在は食材の栽培技術の進歩や輸入などによって、旬の時期以外でもいつでもほとんどの野菜や果物が食べられるようになりました。そのため本来の「旬」がわかりにくくなってきています。
 お店に行けば、いつでもきゅうりやトマトが並んでいます。旬は夏です。夏の露地物の新鮮なきゅうりのみずみずしさやトマトの濃い甘みと酸味は一度食べたら、その格別のおいしさに驚きます。
 旬にとれた野菜や果物はおいしいだけでなく、栄養価も高くなっています。たとえば、きゅうりでは、冬場のものよりビタミンCやカロテンを多く含んでいます。
 かぼちゃは野菜の中ではエネルギーが高く、ビタミンも豊富です。北海道産のものが出回るのは夏からです。かぼちゃは丸ごとでしたら10〜15℃の風通しのよいところで1〜2か月は保存でき、栄養価も減少しません。果肉の黄色にはカロテンが多く含まれています。カロテンは体内でビタミンAとして働きます。ビタミンAは脂溶性ビタミンで、サプリメントなどで多くとりすぎると体内に蓄積して過剰症になります。しかし、野菜からカロテンを摂取したときは体内で必要な分だけがビタミンAに変わるので、ビタミンA過剰症の心配はありません。昔は「冬至にかぼちゃを食べるとかぜをひかない」といわれていました。冬には食べられる野菜が少なくなり、元気に冬を過ごせるように保存のきくかぼちゃを大切にしていました。昔の人はビタミンのことや栄養学のことは知らなかったでしょうが、生活の経験や知恵からでた言葉には感心されられます。
 野菜や果物の「旬」を知って、その時期には旬のものをたくさん食べるようにしてみてはどうでしょうか。今では八百屋さんはあまり見かけなくなりました。ちょっと前までは、八百屋さんに野菜を買いに行けば、「今日はこれが安くてうまいよ」から始まって、新鮮な野菜の見分け方、保存方法、ついでに料理の仕方も教えてもらえて、自然にいろいろな知識を得ることができました。
 今は多くの食材であふれており、旬のものを意識する機会が減っています。豊かだけれど子どもたちの食生活や食文化は貧弱になってきている気がします。旬の食材を知って、自然と食生活の関わりを子どもたちへと伝えていきたいものです。
 1週間に1回でもいいので、「旬」のものの献立を考えて、家族で一緒に食べることができれば、少し豊かな気分になれるかもしれません。
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