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小児科
育児のはなし
18. ビタミンK2シロップ
2014年7月
 赤ちゃんが誕生された時に、ビタミンK2シロップを飲ませたことを覚えていらっしゃいますか?
 新生児期から乳児早期のビタミンK欠乏性出血症の予防のために、1989年から出生時と生後1週間(産科退院時)と1か月健診時の合計3回のビタミンK2シロップの投与が行われてきています。この予防的投与によって、ビタミンK欠乏性出血症をおこす赤ちゃんは10分の1に減少しましたが、残念ながらゼロにはなっていません。
 では、赤ちゃんにどうしてビタミンKが必要なのでしょうか?
 ビタミンKは血液が固まる時に必要なビタミンで、不足すると出血の症状が出てきます。ビタミンKは2種類あります。ビタミンK1は緑黄色野菜、海藻などに含まれ、K2は体の腸内細菌や納豆菌が作り出します。普通の食生活では、ビタミンK不足にはなりません。
 ところが、新生児期から乳児早期には腸内細菌が未発達なため腸内でビタミンK2が作られません。また、胎盤を通じてのビタミンKの移行が悪く、出生時に蓄えが少ないこと、母乳中にはビタミンKの量が少ないことなどから、ビタミンK欠乏症を起こしやすい状態になっています。
 新生児期に起こす出血症は「新生児メレナ」と呼ばれる消化管出血(吐血、下血)が多く、出生時のビタミンK2の内服で予防可能です。一方、生後3週間から2か月の乳児早期にみられる出血症は頭蓋内出血での発症が多く、約半数が亡くなったり、後遺症が残ったりと予後は良くありません。2005年の全国調査では、乳児期の頭蓋内出血症がわずかながら発生(1999年〜2004年の間の発生は出生10万人に対して1.5人)していることが判明しました。そこで、近年「乳児ビタミンK欠乏性出血症の発生をゼロ」にするため、日本小児科学会新生児委員会の中で予防投与の見直しがなされました。
 見直し委員会の中では海外のデータを参考にしました。日本と同様の3回投与する方法では出生10万人あたり、0.44人の発生がありましたが、生後3か月まで週1回の投与を続ける方法だと、発生がゼロになることがわかりました。そこで、2010年に以下のような改訂ガイドラインが発表されました。
 生後3か月までは、出生時と以後毎週1回のビタミンK2シロップを投与する(合計13回)。母乳を与えている母親にはビタミンKを豊富に含んでいる食品(納豆、緑黄色野菜)を積極的に食べるように勧める。1か月健診の際に人工栄養が主体の場合、ビタミンKは必要量がミルクに加えられていますので、1か月健診時の内服で終了してよい(合計5回)。
 しかしながら、現在まだ、全国的にはこの投与法が十分に普及していません。早くこの改訂ガイドラインに沿った投与になり、ビタミンK欠乏性出血症ゼロが達成されることを願っております。
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