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小児科
育児のはなし
13. 絵本とブックスタート
2013年4月
 赤ちゃんがお誕生して健やかに成長してゆくためには、体とともに心の発達も忘れてはいけません。体の成長には母乳やミルクが必要で、外からみてもそのめざましい成長ぶりはよくわかります。一方、心の成長は外からはみえにくいものです。赤ちゃんの心は人とのふれあいの中でじっくりと育まれてきます。赤ちゃんを育てていく中で、体と心の両面からのバランスの良い成長がとても大切になってきます。 
 最近、乳幼児の頃からメディア漬けになっているお子さんが多く、視線が合わない、言葉が出ない、すぐにパニックになるなど、その影響が深刻な問題になっています。メディアのようにコミュニケーションが一方通行だけでは、お子さんの情緒は育たず、うまく対人関係を築いていくことができません。お子さんが初めて人としての絆を結ぶのはお母さん、お父さんです。この時期に多くの愛情をそそがれたお子さんは、人としての土台がしっかりとしてきます。
 さて、ブックスタートをご存知でしょうか?ブックスタートとは絵本の読み聞かせを通して親子であたたかい時間を共有することを応援する運動です。絵本の普及や早期教育ではありません。絵本の内容を教えることが目的でもありません。絵本を読み合ってどれだけ楽しい時間が過ごせたか、どれだけ親子の間で豊かな感情が育まれたかが、とても大切なことになってきます。絵本は親子のコミュニケーションのひとつのツールとして考えて下さい。
 当院では、8年前の開業時から個別健診に来られた7か月のお子さんに、ブックスタートを行ってきました。健診後に個室で保育士や看護師が、『じゃあじゃあびりびり』(偕成社)と『ごぶごぶごぼごぼ』(福音館書店)の二冊を読み聞かせています。その際には「7か月の赤ちゃんに絵本がわかるの?」「どんな本を読んだらいいですか?」など様々な質問があります。特に初めてのお子さんでは絵本を手にしたことがないお母さんも多く、健診時のブックスタートでのお子さんの反応に驚かれることもあります。絵本を読んでいる人の顔や絵本をジーと見つめたり、声をたてて喜んだり、絵本に手を伸ばしてきたり、だんだんと表情が生き生きとしてきます。お子さんの思わぬ表現に出会い、お母さんにもうれしい気持ちが芽生えてくるのがわかります。
 昨年(2012年)、ブックスタートの後で、お母さん50名にアンケート調査をしました。山口県宇部市では、まだ自治体でブックスタートが開始されていないためか、ブックスタートのことは約6割の方がご存知ありませんでした。しかし、読み聞かせでのお子さんの笑顔をみて、「楽しかった。今後、自宅でも絵本を読み合う機会を作りたい」と全員が答えておられました。
 ブックスタート体験を紹介することで、親子の絆を育むお手伝いが少しできることは、スタッフみんな、このうえない喜びを感じています。現在は7か月健診の際に行っておりますが、もっと早い時期にお子さんと絵本の出会いがあっても良いかもしれないと思っております。
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